シーズーの皮膚の特徴
シーズーは、中国やチベットの乾燥した環境から皮膚を守るために皮脂が多く分泌される傾向にあります。特にカットで短髪であると分泌された皮脂が過剰となり、脂漏症(しろうしょう)となることがあります。脂漏症になると独特の「脂っぽい」体臭やフケ、べとつきに悩まされることも多いでしょう。そのため、適切なシャンプー剤を用いて、定期的なシャンプーに気を遣う必要があるでしょう。
シーズーによくある皮膚病
アレルギー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎を含む、アレルギー性皮膚炎と診断することが多いでしょう。アレルギー性皮膚炎になると、主に目の周りや口の周り、耳、首、お腹、股、指の間が、痒くなったり、赤くなったり、黒くなったり、腫れたり、かさぶたが見られたり、毛が抜けたり、と様々な症状が現れます。飼っているシーズーが体をしきりに掻いていたら、アレルギー性皮膚炎かもしれませんね。
原因と治療について
アレルギー性皮膚炎の原因は多岐にわたる上に、特定することが困難です。食べ物に反応することもあれば、花粉に反応することもあれば、ハウスダストに反応することもあります。食べ物への反応を疑えば、除去食試験を行いますが、反応はイマイチなのかもしれません。花粉やハウスダストなどの環境要因への反応を疑うと、血液検査を行うこともありますが、原因を特定できることは決して多くありません。 治療は、症状により様々でしょう。軽い症状であれば、シャンプーや保湿で抑えられることもあります。中程度や重度になると、内服薬は必須になるでしょう。以前(昔々)は、ステロイドに頼る場面が圧倒的でしたが、今は、アレルギー性皮膚炎に特化した良いお薬があります。それでも、シャンプーや保湿は補助的にでも行うことを推奨しています。サプリメントも併用してもいいでしょう。
脂漏症
脂漏症は、皮脂の分泌が過剰となり、皮膚がベトベトしたり、独特の脂っぽい匂いがしたり、フケが多くなったり、皮膚が赤くまたは黒くなったり、皮膚に汚れが付着するようになったりする病気です。もちろん痒みを伴うことも多く、アレルギー性皮膚炎を併発することも少なくありません。飼っているシーズーを触ったあとに手がベトベトする、なんだか臭いなんて思うことが増えてくるなら、脂漏症かもしれません。
原因と治療について
脂漏症の原因は、シーズーの皮膚の特徴にあると言っても過言ではないでしょう。元々長毛なのを短髪に仕上げているから、皮脂の行き場がなくなるのが原因だなんて噂もあります。とにかく治療を頑張りながら、少しでもいい皮膚の状態を維持しましょう。
まずは、シャンプーです。しっかりと皮脂を落とせるシャンプーを選びましょう。市販のものでは不十分でしょう。保湿も忘れてはいけません。皮脂を落としすぎると乾燥して、余計に皮脂が分泌される悪循環につながる恐れさえあります。しっかり治療するなら週2回のシャンプーと保湿です。もちろん症状がひどい場合には、内服薬を使用することもあります。
マラセチア性皮膚炎
マラセチアは真菌(カビ)の1種で、酵母に分類されます。どの犬の皮膚にも常在します。このマラセチアが過剰に増えてしまうと、皮膚炎を引き起こします。実はこのマラセチアは皮脂が大好物なのです。そのため、脂漏症になるとマラセチア性皮膚炎を併発することがとても多いのです。皮膚のベトベトしたところを顕微鏡で調べ、マラセチアが増えていることを確認します。
原因と治療について
過剰な皮脂が原因の一つですが、アレルギー性皮膚炎から併発することもあります。
治療は、まずは抗真菌薬を用いて、マラセチアの数を減らすことです。マラセチアはそもそも常在菌なので、体から消し去ることはできません。過剰に増殖していることが問題ですので、まずは内服薬で数を減らし、減った状態を、適切なシャンプーを適切な頻度行うことで、過剰に増えないようにコントロールするのです。特に脂漏症が多いシーズーでは何度も再発することも多いため、日ごろのケアがマラセチアとの闘いの勝敗を分ける天王山なのかもしれません。
症例紹介
Case Studies